香港からの飛行機から新千歳空港に降り立つと、香港の寒さとは比べ物にならないくらいのキンキンの寒さが肌をちくちく刺す。
4時間のフライトでぼんやりしていた脳みそが一瞬で目を覚まし、背筋がしゃんとなる。
雪国ならではの鋭く澄み切った空気と、呼吸をする度に口から出てくる白い蒸気で、あぁ帰ってきたんだなぁ、と思った。
東北で生まれ育った私の冬は、凍り付いた道路と真っ白に雪化粧した自然に象徴される雪国の冬。
南国オーストラリアのシドニーも寒いけれど、雪が降るまでではなく、どこもかしこも雪だらけのこの風景に帰って来れるのは一年に一回くらいだ。

雪があるだけで、こんなにワクワクするのはどうしてだろう。
背筋がしゃきっとするのはどうしてだろう。
北海道にずっと住んでいる人は約4ヶ月に及ぶ長い長い冬にうんざりしていると思うけれど、一年に一回、一ヶ月しかこの独特の空気を味わえない私には特別な環境。

過去3年を過ごしたオーストラリアも、私にとってはこれから帰る場所だけれど、ここ北海道も何回も帰って来れる場所になったらいいな。
あわよくば、一年に3回くらい行ったり来たりできる生活になったらいいのだけど。
あっちこっち暮らしの、たびくらし。