「住んでいる場所」に愛着を持つこと – 伊佐知美さんの「移住女子」を読んで

ここで良いのかな、でももう少し居たいな、ここで良いのかな、でも日本には帰りたくないな、ここで良いのかな、でも本当に住みやすい。。。

「住むつもりはなかったんだけどね〜」と言いながら永住している人たちは、こういう感じだったのかな?

…なんてことを考える今日このごろ。

故郷の仙台を離れたときは、自分で選んだ事だったけど悲しかったし、今でも仙台に帰りたいなぁと思う事がよくあります。

こんな思いはもうしたくないから、期限付きの滞在の間は、せめて永住権がとれるまでは、なるべくシドニーに思い入れをいれたくなかった。

1年限定滞在のワーホリメーカーや留学生ほど、もしかしたらこの気持ちは強くなるかもしれません。

しかし一冊の本を読んで、今までとは違うことを考えました。今日は、伊佐知美さんの「移住女子」を読んで思ったことを書きたいと思います。

「移住女子」について

「移住女子」はその名の通り、自分が元から住んでいたところから日本全国に移住した女性達のお話です。「灯台もと暮らし」というメディアで編集長をしている伊佐知美さんが、各地での取材を通して出会った移住女子たちの、移住先での暮らしを綴っています。

岩手県遠野市、宮城県石巻市、新潟県長岡市…と移住先もその動機もライフスタイルも様々ですが、共通しているのは全員「自分で決めて移住して、自分で生活を作っていっている」こと。それぞれの行動背景にしっかりした意思を感じられて、手探りながらも「生活を作っている」という感じが伝わってくる暮らし。

読んでいて特に印象的だったのは「移住万歳!」な内容ではなく、「この人はこんな生き方を選びました、あの人はあんな生き方を選びました。あなたはどうしていきたいの?」と問いかけるような内容になっていたことです。

「愛着なんて持ちたくない、だって離れる時に悲しいだけだから」と思っていた

わたしはどうしたいのだろう?と考えた時に、手がかりとなったのが伊佐さんの言葉。

一番惹かれたのは、彼女たちに「あなたはこれから何をしたいですか」と未来の話を聞くと、主語が「私は」から自然と「私たちは」に変わっていく事だった。

– 伊佐知美 「移住女子」 p.138

私は「これから何をしたいですか」と聞かれたら、まだ違う国でワーホリがしたい、でも永住権もとりたい、英語をもっと上手に、でも広東語もマスターして….って主語が全部「自分」になります。

もちろん、若い時はそれで良いと思っているし、まずこれが満たされないと他人を巻き込んでの「私たち」の幸せを願うのは難しいでしょう。

でも、もう少し大人になっていくにつれて、「私たち」を主語で考えられるような暮らしを出来たら見える世界が広がるだろうな、と思ったのです。これは住んでいる場所に愛着があるから、地域全体の「私たち」を主語に未来を考えていくのではなく、「私たち」で考えるから、今住んでいる場所に愛着が湧く、ということも有り得るだろうな、と思ったから。

考えてみれば、仙台では小さい頃から雀躍りや仙台七夕まつり、仙台八幡宮や等を通して、たくさんの地域のイベント・行事に関わる機会が沢山あったから、仙台に住んで居るときは自然と主語が「仙台に住む家族・親戚・友達、そして私たち」で自然と考えられていたのかもしれない。

逆にシドニーにいながらも、日本人コミュニティとか彼氏とか趣味とかだけではなくて「この地域のイベント」について考えて、「わたしが」じゃなくて「わたしたちが」と考え始めたら?

どこにいても「自分のため」だけではなく、少し愛着を持ってその土地を見つめ直す視点があれば、そこに滞在する期間が短期間であれど違った景色が見えてくるかもしれません。

まとめ

この記事で紹介した本は、伊佐知美さん著の「移住女子」でした。今回は国内の「移住女子」のみ取り上げられていましたが、灯台もと暮らしで「かぐや姫」の特集をしている伊佐さん、そのうち海外の移住女子の本も出してくれるのでは?と期待しています。

移住先で主体的に活動して行ける人は、海外・国内問わないのではないかなと思います。「移住先」での暮らしを見つめ直すきっかけとして、海外在住の人にも手に取ってもらいたい一冊です。

 

 

シドニーでの毎日
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