スタイルが良くて、性格が良くて、イラストも書けて文章も上手だなんて神様は不公平だ

book天は二物を与えず、といいますが、この世には二物どころか三物も四物も持っている人がいるものです。

しかも嫉妬するだけ無駄なスーパーモデル、憎むことも出来ない可愛らしい性格。

イラストも文章も可愛くて上手で、と思えば書いてあることはしっかり地に足がついている内容だから読んでいて面白い。

ここまで読んで、なんの本だか検討がついた人もいるかもしれませんが、今日はエッセイ集「杏のふむふむ」をご紹介します。

もしかしてこの人は、私たちと同じ平凡な人なの…?

と思ってしまうくらい、ほのぼのとした語り口でエッセイが語られます。

飼っていた犬のこと、小学校の先生のこと、初めて買ってもらった万年筆のこと。

書いてある一つ一つのエピソードは、自分の人生のどこかでも起こっていたような、どこにでもある日常です。

パリやニューヨークで活躍するスーパーモデルのオーラが、書いている文章からは全く創造がつかないほど、ほのぼのとして親しみやすいのです。

でも、イタリア、上海、アメリカ、フランスと飛び回る彼女の日常も垣間みれる

こんなに朴訥としている雰囲気のエッセイでも、スーパーモデルとして世界を飛び回る彼女の日常がみえます。

でも、その「世界」も杏さんのフィルターによって描かれているからか、遠い世界のことには感じないんですね。

来週この人がシドニーきたら、こんな感じで話せるんじゃないかな、という親しみやすさも伝わってくるのです。

それでも、「親しみやすい」だけで終わらないのが、このエッセイ。

彼女なりのフィルターで見た彼女なりの世界を、どんなに小さいことでも杏さんはしっかり咀嚼して、自分の中で経験として蓄えてから次のステップに移っているような気がします。

大舞台がおわったとき、ドラマの1クールが終わったとき、母校で講演会があったとき。

こういう風に、ひとつひとつの出来事を丁寧に振り返ることができたら、私たちの日常ももっと非日常のものになるのかもしれません。

そして、極めつけは村上春樹さんの解説

「駄目元で、おねがいします!」と杏さんから村上さんに解説をお願いしたそうですが、駄目元が実って村上さんが解説をかいています。

そしてこの解説が、この本の良さを一言で表しているんです。

(前略)…あるいはどこかにオーラ・スイッチみたいなものがあって、それらしく振る舞わなくてはならないときには、ちゃんとスイッチを入れましょう、みたいな。もしそうだとしたら、それはなかなか素敵なことなんじゃないかと僕は思う。

ー「杏のふむふむ」解説: 村上春樹より

あまりエッセイは手にとらない私ですが、日本からオーストラリアに来る飛行機の中で一気に読んでしまいました。

すこしほのぼのしたくて、でもちょっと気付きが必要な人に。

シドニーでの毎日
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